ケンタッキー州レキシントン(Lexington, Kentucky USA) に本拠地をおく世界最大コーチング団体、国際コーチング連盟(ICF: International Coach Federation)は「国際コーチング連盟によるプロコーチの倫理規定」の中で、コーチングを下記のように定義しています。
コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことである。
Coaching is partnering with clients in a thought-provoking and creative process that inspires them to maximize their personal and professional potential.
コーチングとはクライアントと関係性をつくること
つまりコーチングとは、コーチとクライアントがパートナーシップを築くことです。そしてそのパートナーシップつまりコーチとクライアントの関係性は、クライアントが自ら前に進むためにコーチがクライアントの思いや考えを刺激し続ける創造的なプロセスです。
コーチングに似た職業が他にもありますが、こういった関係性を築くというのはコーチングだけです。そしてコーチングを行う前に、お互いの責任を明確にし、コーチング契約を結び、その後、コーチングセッションでも、セッションとセッションの間でも、関係性が続いていくのです。
コーチとクライアントの関係は同等です。私のコーチはアメリカ在住のアメリカ人ですが、コーチをファーストネームで呼んでいます。ですから、私のクライアントは私を「まさえさん」と呼んでいます。余談ですが、ICFジャパンでは、通常、日本人同士でもファーストネームやニックネームで呼び合っています。一見固そうな団体ですが、実はこのようなカジュアルな関係が私はとっても気に入っています。そして、このような雰囲気の中で2014年秋に初めて大規模なコーチング・カンファレンスを成し遂げるところがプロフェッショナルな団体だと思っています。
コーチングはプロセス
テキサス大学のビジネススクールのエグゼクティブ・プログラムでは授業の第一日目にコーチングの明確な定義を勉強します。そのとき私はコーチングのことをまだよく知らなかったのですが、学部長が「コーチングはプロセスです。」と何度も繰り返し言っていたのが、強く印象に残っています。
ですから、コーチングはプロセスであってスキルではありません。
学校を卒業してすぐ、日本のコーチング業界で、コーチたちが「コーチングは限界がある。なぜならスキルだから。」と話していたのに驚きました。私はコーチングは無限大だと思っていましたし、コーチングがスキルというのも初耳だったからです。
コーチングがスキルだったら、そのスキルが通用しない場合、コーチングは結果がだせません。私が、「英語&コーチング」でいつも例に出すのは、「渋谷(渋谷で教えています)から銀座に行くときに、電車で行っても、バスで行ってもかまわないし、電車で行こうとしたら電車が止まってしまったので、歩いていくことも可能だし、今日、銀座に行くこと自体を止めることだってかまわない。なぜなら、コーチングは目的地にたどり着くプロセスだから」と説明しています。
ですから、「コーチにはスキルが必要だけれど、コーチングはスキルではありません。プロセスです。」と私は説明しています。
※ University of Texas, Dallas, School of Management, Executive and Professional Coaching ProgramはICFのACTP Accredited Programであり、ここでいうコーチングはICFの定義によるものです。