■ICFコア・コンピテンシーとは
国際コーチング連盟は2019年10月に「ICFコア・コンピテンシー」を更新しました。
ICF本部のウェブサイトからご利用ください。www.coachfederation.org.
今までは、「ICF Core Competencies」でしたが、英語名も「ICF Core Competency」になりました。日本語では「国際コーチ連盟が定めるコア・コンピテンシーモデル」となりました。
(国際コーチ連盟は2020年に名称を国際コーチング連盟に変更しました。)
今回の更新の翻訳は私もICFジャパンの理事として担当させていただきました。今回は、更新の内容ではなく、コア・コンピテンシーとは何か、そもそもをご説明します。
時折、
「ICFコア・コンピテンシー」は、
「私たちプロコーチが目指すものです。」
「プロコーチの指針です。」
といった話を聞くことがありますが、少し違うのです。
コンピテンシーという言葉は、『高いパフォーマンスをする人に共通して見られる行動特性』という意味ですので、「ICFコア・コンピテンシー」とはICFが認定するコーチは「すでに持っている能力」なのです。
それもコア(核)な能力ということは、この能力がなかったらICFの認定コーチじゃないよね、というようなものです。
なぜ、すでに持っている能力と言っているかというと、ICFの認定資格(ACC, PCC, MCC)の審査がICFコア・コンピテンシーモデルだからです。
要するに、ICF認定コーチはコア・コンピテンシーがあると認められたから資格を取得したということです。
逆にいうと、この能力がなければICF認定コーチにはなれません。
私はICFの認定アセッサーなのですが、全部の項目に対して一つ一つ資格申請者のパフォーマンスを確認していきます。
ですので、ICFコア・コンピテンシーモデルは、目指すところではなく、持っている能力であり、私たち認定コーチはその能力を高めることが必須なのです。
■ICFの資格取得してからのほうが重要
では、ICF認定コーチであれば全員がすばらしいコーチとして認められてるのでしょうか?
それはお医者さんを参考にすると分りやすいです。
例えば、東大医学部卒の医師の資格を取得した医師はすばらしい医師なのでしょうか?
東大の医学部を卒業して医師免許を持っていいたら、ある水準の能力があることはわかります。
しかし、その能力の度合いというのは、その医師がその後どのくらい実践をしたか、知識を得たかで差が出てきます。医師の姿勢が問われるところです。資格を取得しても怠惰だったら能力は落ちるでしょう。名医は医師の素養があるのでしょうが、一夜にして名医にはならないということです。
外科医だったら経験の浅い医者より、何百回も手術経験のあって治療が成功しているベテランの医師のほうがいいですよね。でも、治療してもらえるのにずっと待っていなければならないとか、高額な治療代を請求される可能性もあります。
一方、名医といわれる腕のいいすべての医師が患者さんに信頼されているのでしょうか。
地域で小さなクリニックを経営している先生のほうが、大きな病院の先生より患者さんからの信望が厚い場合もあります。
要するに、一生懸命勉強してICFの認定資格を取得しICF認定コーチになるということは、最低ICFコア・コンピテンシーがあると認められたことになるのですが、そこからさらに自己の能力を開発していかないと維持できなくなるばかりか、腕が落ちるということになります。
クライアントと信頼関係を作り、共にコーチングジャーニーを歩いていく中で、私たちコーチは、さらにコーチとしての能力を磨くことが必要なのです。だからこそ、ICFも継続学習を認定コーチの資格更新の必須事項としています。
すべて一人一人の考え方、在り方次第です。
私たちコーチングを職業としている者の学びに卒業はありません。
ICFコア・コンピテンシーの理解を深め、実践を積んでいきましょう。
2021年5月
荒木まさえ